観念した知盛は帝の行く末を義経に託すと・・・。
鎧を重ねて
知盛は、壇ノ浦では「見るべきほどのことをば見つ」、華やかな全盛から惨めな敗走まで、人が生涯に味わうであろうことは全て体験した、と言い残し、その身が浮かばぬよう鎧を二枚着て海へ飛び込んだともされます。敗北を覚悟した彼には、さわやかささえ漂っていたように伝わっていますが、さてこのお芝居ではどんな最期を遂げますか。この幕一番の見所です。
母の元へ
安徳帝を生かすことにしたのは、何の罪もなく死んだ幼い帝を悼む人々の気持を汲んでのことでしょう。帝はやがて、これも壇ノ浦で入水したものの引き上げられ、今は大原の里に暮らす母、建礼門院(けんれいもんいん)の元へ届けられるのです。
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