伊賀越はなすび??

伊賀越レベル 
★★☆
くまどりん
Facebook Twitter

「一に富士 二に鷹の羽のぶっ違い 三に名を成す伊賀の仇討ち」
という文句があります。これは敵討ちをテーマにした物語をするときに講釈師がよく使う文句として有名です。(講釈師とは、歴史上の戦いの物語や有名な事件などを、お客さんの前で調子よく語って聞かせる人のことです)
「一に富士」は、曽我兄弟の敵討ちをさします。 曽我兄弟は源頼朝による富士の裾野の狩に潜入して、父の敵・工藤祐経を討ちました。
「二に鷹のぶっ違い」は、赤穂浪士の敵討ちをさします。大石内蔵助らの主君・赤穂浅野家の家紋が鷹の羽だからです。
そして、「三に名を成す伊賀の仇討ち」は、もうわかりますね、伊賀上野の敵討ちです。
荒木又右衛門はこの敵討ちにより、剣客として後世に名を残しました。前回の記事でも触れましたが、「荒木又右衛門の三十六人斬り」の物語は講談の人気の題材でとなりました。 ということで、又右衛門が「名を成す」、有名になった、という意味です。


鷹の羽家紋

ところでこのワン・ツー・スリーの組み合わせ、どこかで見たことあるような気がしませんか?そう、初夢に見ると縁起のよいという、「一富士二鷹三なすび」にそっくりですね!
皆様、必ず一度は、この「なすび」って何だろう?と気になったことがあるのでは。実は「一富士二鷹三なすび」は、この3つの敵討ちが由来といううわさがあるのです。つまり、「なすび」は、又右衛門が「名を成す」の「なす」。3つの敵討ちがみな本懐を遂げてめでたい、それにあやかろう、ということです。
とはいえ「なすび」を伊賀上野の敵討ちにしてしまうのは、ちょっとこじつけにも聞こえます。「なすのヘタが''いがいが''(伊賀伊賀)しているから」なんて説もあるようですが…
三大敵討ちが「一富士二鷹三なすび」の由来というより、「一富士二鷹三なすび」に三大敵討ちを当てはめたような気もします。ともあれ、それだけ3つの敵討ちが有名だったということでしょう。

ちなみにこの「一富士二鷹三なすび」、
“一に富士山、二に愛鷹山、三に初茄子の値段”
と徳川家康ゆかりの駿河国(今の静岡中央〜西部)の高い物を列挙したという説もあるそうですが・・・何を指すのかは未だよくわかっていないようです。
 
閉じる