「一に富士 二に鷹の羽のぶっ違い 三に名を成す伊賀の仇討ち」
という文句があります。これは敵討ちをテーマにした物語をするときに講釈師がよく使う文句として有名です。(講釈師とは、歴史上の戦いの物語や有名な事件などを、お客さんの前で調子よく語って聞かせる人のことです)
「一に富士」は、曽我兄弟の敵討ちをさします。
曽我兄弟は源頼朝による富士の裾野の狩に潜入して、父の敵・工藤祐経を討ちました。
「二に鷹のぶっ違い」は、赤穂浪士の敵討ちをさします。大石内蔵助らの主君・赤穂浅野家の家紋が鷹の羽だからです。
そして、「三に名を成す伊賀の仇討ち」は、もうわかりますね、伊賀上野の敵討ちです。
荒木又右衛門はこの敵討ちにより、剣客として後世に名を残しました。前回の記事でも触れましたが、「荒木又右衛門の三十六人斬り」の物語は講談の人気の題材でとなりました。
ということで、又右衛門が「名を成す」、有名になった、という意味です。 |