本名題:『助六由縁江戸桜』(すけろくゆかりのえどざくら)
助六と一口に言ってもタイトルが微妙に違う場合があります。
本家本元、市川家の歌舞伎十八番「助六由縁江戸桜」を市川家以外の俳優がやる場合は題名や伴奏音楽を変えて上演するというしきたりがあります。
たとえば、尾上家がやる時は、題名を「助六曲輪菊(すけろくくるわのももよぐさ)」とし、伴奏は河東節(かとうぶし)ではなく清元(きよもと)にします・・・といってもお芝居の内容はまったく変わりませんが…
助六・実は曽我五郎時致(そがのごろうときむね)は吉原(よしわら:江戸のナイトスポット)へ出入りし、わざとケンカを仕掛けて相手の刀を抜かせます。
それは名刀、友切丸(ともきりまる)を捜す手段なのですが、彼が最も怪しいとにらむのは、愛人のおいらん・揚巻(あげまき)に横恋慕している髭の意休(ひげのいきゅう)……
“江戸ッ子の総本山”といわれ、並みいるおいらんからプレゼントのキセルの雨が降る男伊達・助六と、金の力を笠にきる意休との対決の面白さ。
また意気と張り地が身上の揚巻がきる胸のすくようなタンカ…
揚巻の豪華な衣裳がどんどん変わる…など、見所、聞き所が尽きない二時間です。 |