令和チャレンジ賞(入選):3名 *審議の結果、今後が期待される方々にも入選枠の賞を設けました。
鈴木裕里子(演目『京鹿子娘道成寺』)
【受賞者コメント】
「歌舞伎は非日常だ。」
これは、私が今回のオーディション1次課題として提出した作文の冒頭である。歌舞伎が私にもたらす高揚感を表しての言葉であったが、今はまた違う意味を持つ。まさか日本中で歌舞伎興行のかからない月が出てくるなぞと誰が想像しただろうか。恥ずかしながら私は「歌舞伎が公演中止?それは確かに非常事態だ!」と思った人間である。
そんな状況下において入選との知らせが入り、久々に「ハレ」の気分にさせて頂いた。ただ己の楽しみのために観ていた歌舞伎だが、これからまた新たな視点で勉強を重ねることで、歌舞伎を観にいらっしゃるお客さまの役に立てる日が来たらいいな、と思っている。
まずは日常を取り戻すこと。そして非日常へと私たちを誘なう歌舞伎興行が再開されることを祈って。
この度は選出頂きまして、ありがとうございました。
立木つねこ(演目『義経千本桜』)
【受賞者コメント】
このたび受賞者にお加え頂きましたこと、関係者の皆様に心より感謝申し上げます。
昨夏、偶々見かけた『イヤホンガイド解説者オーディション』の文字に目が釘付けになりました。歌舞伎ファンとして数十年。自分はどんどん深みに嵌りながら、ふと周囲を見渡すと意外と歌舞伎の面白さに気付いておられない方が多いのですね。勿体ない。この無限の歌舞伎沼にもっとたくさんの人を引きずり込みたい! と、そんなことを妄想していた折でした。ふうむ、ダメもとで、まずはやってみようかと挑戦を始めました。
しかし、いざ解説原稿に取り掛ってみるとこれは大変。知っているようでもひと言記すには読んで観て調べて歩いて。いやはや力不足の痛感です。でも、知れば知るほど発見の連続、楽しいことこの上ないのです。ああ、歌舞伎は面白い。奥深い。途方もない。
望外の機会を頂き、喜び勇んで今後もチャレンジを続けていきたいと念じております。
辻陽史(演目『京鹿子娘道成寺』)
【受賞者コメント】
この度は、「令和チャレンジ賞」をいただき、ありがとうございます。
オーディションでは、歌舞伎舞踊「京鹿子娘道成寺」の解説に挑戦いたしました。解説に際しては、舞踊の内容を伝えることに加えて、お客様に竹本、長唄という音楽も聴いていただけるように解説をしなければならず、作成当初は、解説の入れどころ、言葉選びなど、なかなか思うようにいきませんでした。解説員の方がどのようなタイミングでどのように解説なさっているのかを勉強しに何度も劇場に通っているなかで、いつも当たり前のように使っているイヤホンガイドの奥深さを改めて実感いたしました。
歌舞伎の魅力をしっかりとお伝えし、歌舞伎を初めてご覧になる方にも、歌舞伎通の方にも、劇場で充実した一幕をご覧いただける解説をお届けできるよう、日々精進してまいります。
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