今月の観どころ・聴きどころ

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今月上演される演目のみどころをイヤホン解説員がコメントします。
劇場別のタイムテーブルも一緒にご覧いただけます。

 

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歌舞伎座 国立劇場 新橋演舞場 浅草公会堂 大阪松竹座 国立文楽劇場

 歌舞伎座 壽初春大歌舞伎 1月2日(月)~26日(木)

  演目 解説者 開演 終演 幕間
昼の部 将軍江戸を去る おくだ健太郎 11:00 11:58 30
大津絵道成寺 髙木美智子 12:28 1:31 20
伊賀越道中双六 沼津 市井佳代子 1:51 3:40  
夜の部 井伊大老 髙木美智子 4:30 5:53 30
越後獅子 濱口久仁子 6:23 7:02 20
傾城 市井佳代子
松浦の太鼓 おくだ健太郎 7:22 8:42  

*6日(金)昼の部は貸し切り(幕見席は営業)。

*タイムテーブルは予告なく変更になる場合があります。あらかじめご了承ください
 観どころ・聴きどころ

大津絵道成寺(髙木美智子)

江戸時代琵琶湖のほとり大津で、旅人のお土産として売られていた素朴な絵・大津絵。その絵柄の人物や動物や鬼などを登場人物にして、「京鹿子娘道成寺」を下敷に、その音楽や構想をかりて、舞踊としたものです。「愛之助五変化」とサブタイトルがついておりますように、片岡愛之助が藤娘・鷹匠・座頭・船頭・鬼の五役を踊ります。珍しい愛之助の女形舞踊、楽しみですネ。他に市川染五郎、中村歌昇が華を添えます。

 

伊賀越道中双六 沼津(市井佳代子)
仇討ちに巻き込まれた庶民の悲哀を描いた作品です。
重たいテーマですが、芝居の導入部が軽いタッチで描かれている為、笑っている間にスーッと物語の中に入っていけます。登場人物が抱えている背景や事情を補いながら解説したいと思います。
吉右衛門と歌六の絶妙なやりとりを、どうぞお見逃しなく!

 

井伊大老(髙木美智子)

北條秀司・作・演出の新歌舞伎。開国を推進し、攘夷派を弾圧したため、桜田門外の変に倒れた井伊直弼。歴史上の人物の暗殺前夜の様子を、直弼の人間性に焦点を当てて描いた作品です。直弼がまだ部屋住みの貧しかった時から側に仕えて来たお静の方。直弼の国学の師であり友であり、家臣の長野主膳、直弼の若き日からの禅の師であり、一生を通じて精神的後だてだった仙英禅師、正室昌子の方等、直弼のまわりの人々を通して、人間直弼を見せてくれます。松本幸四郎、
坂東玉三郎、市川染五郎、中村歌六、片岡愛之助 他の出演です。

 

越後獅子(濱口久仁子)

夜の部の舞踊、最初は七変化舞踊「遅桜手爾波七字」(おそざくらてにはななもじ)から独立した長唄「越後獅子」を上演いたします。越後獅子は角兵衛獅子ともいわれ、江戸時代に新潟で生まれた軽業曲芸を生業とした芸能集団です。それが歌舞伎に取り入れられ、風俗舞踊として人気曲となりました。お江戸日本橋にやってきた角兵衛獅子が御国芸を披露するという筋立で、見どころは一本歯の下駄を履いての足拍子から、勇壮な布サラシの所作。五世中村富十郎七回忌追善狂言として、富十郎の長男中村鷹之資が元気いっぱいに踊ります。ご期待ください。


傾城(市井佳代子) 
ある遊女の日常を、吉原の四季の情景にからませながら描いた作品です。玉三郎ならではの華やかで艶やかな一幕を、どうぞお見逃しなく!

 国立劇場 初春歌舞伎公演 1月3日(火)~27日(金)

演目 解説者 開演 終演 幕間
しらぬい譚
発端~三幕目
鈴木多美 タイムテーブルのご案内 
しらぬい譚
四幕目~大詰
竹内道敬

*タイムテーブルは予告なく変更になる場合があります。あらかじめご了承ください

 観どころ・聴きどころ
しらぬい譚 発端~三幕目(鈴木多美) 
今月は幕末から明治にかけて絵入り読み物「合巻」で圧倒的人気を誇った「白縫譚」を脚色した『しらぬい譚』が上演されます。室町幕府の頃、九州に住む海女すずしろは土蜘蛛の精から菊池一族に滅ぼされた戦国大名大友宗隣の忘れ形見若菜姫と知らされます。蜘蛛の妖術を会得した姫は敵の菊池家を滅ぼそうと企みますが、菊池家の重宝「花形の鏡」に照らされると術が破れてしまうのです。菊池家の家老鳥山豊後・秋作親子と若菜姫とのスペクタクルな対立、秋作の乳母秋篠の命を賭けた忠義の一幕など見どころ満載です。

 新橋演舞場 壽新春大歌舞伎
 市川右近改め 三代目 市川右團次 襲名披露
 二代目 市川右近 初舞台
 1月3日(火)~27日(金)
  演目 解説者 開演 終演 幕間
昼の部 雙生隅田川 発端・序幕 横出葵 11:00 12:00 30
雙生隅田川 二幕目 12:30 1:15 25
雙生隅田川 三幕目 酒井孝子 1:40 2:15 15
雙生隅田川 大詰 2:30 3:00  
夜の部 源平布引滝 義賢最期 吉崎典子 4:30 5:55 25
三代目市川右團次襲名披露 口上 横阪有香 6:20 6:35 30
錣引 7:05 7:45 20
黒塚 青木房枝 8:05 9:15
 

*20日(金)夜の部は貸し切り。
*タイムテーブルは予告なく変更になる場合があります。あらかじめご了承ください。

 観どころ・聴きどころ

雙生隅田川 発端・序幕・二幕目(横出葵) 
市川右團次襲名披露、市川右近の初舞台で、祝福ムードに溢れる新橋演舞場。右團次の熱演と、右團次の長男・右近の可愛らしさで大盛り上がりです。原作は近松門左衛門、ストーリーの軸は御家騒動ですので、イヤホンガイド前半では人間関係やそれぞれの人物像への理解を深めて頂き、後半の華やかな演出をいっそうお楽しみ頂けるようご案内しています。

 

源平布引滝 義賢最期(吉崎典子)
新橋演舞場の夜の部、最初の演目は、「義賢最期」です。「源平布引滝」という作品の二段目に当たり、初演は1749年、いまから268年前に大坂の竹本座で幕を開けました。作者は並木千柳と三好松洛。平家全盛の時代に白旗を巡って源平の争いがおこります。イヤホンガイドではその白旗についてもくわしく解説します。また「義賢最期」ラストの「仏倒し」と呼ばれるシーンは、立ったまま手を使わずに、舞台から三段のはしごの上にまっすぐに倒れ込むという大変に迫力のある型です。市川海老蔵がのぞむ大立ち回り、そして大技の「戸板倒し」や息を飲むラストシーン「仏倒し」をどうぞお見逃しなく。

錣引(横阪有香) 
源平合戦の「錣引」(シコロビキ)のエピソードをもとにしたこの芝居、遊び心をたっぷり効かせた大らかで楽しい作品です。
シコロとはカブトの一部分の名称で、源氏と平家のつわものが戦場でシコロをつかみ引っ張り合う様を、役者の力強い演技で描き出します。
このたびは市川右團次襲名に寄せての豪華版の「錣引」です。どうぞお楽しみに!


黒塚(青木房枝) 
昭和14年(1939年)二世市川猿之助(後の初世市川猿翁)によって初演された「黒塚」は、木村富子 作、四世杵屋佐吉 作曲の猿翁十種の内、一番の人気曲です。第一景が能楽、第二景が新舞踊、第三景が歌舞伎と、それぞれの手法を生かした三つの形式から成り立つ舞踊劇で、文学性と哲学的な雰囲気を兼ね備えた作品です。
一夜の宿を貸した高僧の言葉で罪業に苦しむ老女が仏法で救われると知った喜びも束の間、再び人間に裏切られ、その喜びが憎しみに変わり、元の鬼になるという、能から取り入れたお話です。奥州安達原の黒塚伝説をもとに書かれたもので、伝統的な古典と、斬新かつ近代的な技法を駆使した昭和の名作です。

初世猿翁が作り、これを当代猿翁が練り上げ、現猿之助が継承した黒塚。楽しみな舞台でございます。


 浅草公会堂 新春浅草歌舞伎 1月2日(月)~1月26日(木)

  演目 解説者 開演 終演 幕間
第一部 お年玉〈年始ご挨拶〉

11:00 11:10  
傾城反魂香
土佐将監閑居の場
三浦広平 11:10 12:35 30
吉野山 中川美奈子 1:05 2:05  
第二部 お年玉〈年始ご挨拶〉 3:00 3:10  
双蝶々曲輪日記
角力場
すぎはらちゅん 3:10 4:05 20
御存鈴ヶ森 櫻井真帆 4:25 5:00 25
棒しばり 奥山久美子 5:25 6:10  

*9日(月・祝)第1部休演。
*タイムテーブルは予告なく変更になる場合があります。あらかじめご了承ください。

 観どころ・聴きどころ

傾城反魂香 土佐将監閑居の場(三浦広平)
若手が大きな役に挑む―これが浅草歌舞伎の魅力です。長い間、多くの人々から愛されてきた名作へ彼らが“ひたむき”にぶつかっていく、その時にしか見られないものがあります。
本年の挑戦は『傾城反魂香』より「吃又」と呼ばれる一幕でスタート。心根の優しい、しかし不遇な夫婦が大きな障害を乗り越える物語です。スーパー歌舞伎『ワンピース』でブレイクした坂東巳之助が絵師・浮世又平を、近年さまざまな分野へ活動を広げている中村壱太郎が気丈な女房・おとくを、ともに初めて演じます。
この作品はおよそ三百年前に生まれた古典ですが、描かれる喜怒哀楽は、三百年という数字のイメージほどに遠いものではありません。伸び盛りの二人のエネルギーが“昔と今をつなげる”舞台を見せてくれることでしょう。
そして浅草歌舞伎には、もうひとつの魅力があります。お正月の賑やかな浅草の街、そこには観劇の前後のお楽しみがいっぱいです。歌舞伎をご覧になったことがない方も、イヤホンガイドがしっかりナビゲートします。ぜひお芝居の世界へ、お気軽に遊びにいらして下さい!

吉野山(中川美奈子)
「吉野山」は、もともと「義経千本桜」の四段目にあたる舞踊です。旅の道中の情景を描いてゆく「道行」は、恋仲の男女によって演じられることが多いのですが、この舞踊は、静御前と家来の忠信主従という珍しい組み合わせによって演じられます。この忠信、実は静が持つ鼓にされてしまった狐の子。演じるのは尾上松也。静に忠誠を尽くしながらも、鼓の音色を聞くとつい出てしまう狐の本性を、手の動きや首の動かし方などで表現するのが、いちばんの見どころです。美しい女主人静御前には中村壱太郎、コミカルな敵役早見藤太に坂東巳之助。踊りに定評ある三人が、桜満開の吉野山で繰り広げる華やかなドラマを、どうぞお楽しみくださいませ。

双蝶々曲輪日記 角力場(すぎはらちゅん) 
ベテラン力士濡髪と素人相撲出身の放駒が登場する「双蝶々曲輪日記」二幕目、通称「角力場」は、遊女、吾妻の身請をめぐる騒動に巻き込まれる、二人の力士の運命の出会いを描いた場面です。観どころは、互いの目から火花が飛び散るような力士の意地と意地のぶつかり合い。義侠心と誇りにかけての対立です。一方、中村隼人演じる山崎屋与五郎は、頼りないけど憎めない、豪商の若旦那。つつけば転んでしまいそうなので「つっころばし」といわれる役どころです。新春浅草歌舞伎は若手歌舞伎俳優の登竜門、なによりフレッシュな顔ぶれの活躍が楽しみです。実は私もまだ解説員のタマゴ、今回初めて務めさせていただきます。どうぞよろしくお願い致します。


棒しばり(奥山久美子) 
棒しばりは、狂言をもとにした歌舞伎舞踊です。狂言は、笑いの芸能と言われていますが、このお芝居も狂言ではお決まりの登場人物、大名、太郎冠者、次郎冠者の三人が繰り広げるコメディです。大名の留守中にこっそり酒盛りをする太郎冠者と次郎冠者。今度こそ酒が飲めないようにと大名は二人を縛ってしまいます。しかし、縛られても酒が飲みたい。二人がどうやって酒を飲むのかが、このお芝居の最大の観どころです。不自由な恰好で道具を扱い、踊るのは至難の業です。それを軽々と楽しく演じる尾上松也、坂東巳之助に注目。新春に相応しい笑いに溢れた舞台をお楽しみ下さい。
三遊亭楽生のラクショー歌舞伎
歌舞伎・文楽 ミニ知識
イヤホン解説余話

 大阪松竹座 
 中村橋之助改め八代目中村芝翫襲名披露 
 中村国生改め四代目中村橋之助 中村宗生改め三代目中村福之助
 中村宜生改め四代目中村歌之助襲名披露
 壽初春大歌舞伎 1月2日(月)~26日(木)

  演目 解説者 開演 終演 幕間
昼の部 吉例寿曽我 飯村絵理子 11:00 11:40 30
梶原平三誉石切 高木秀樹 12:10 1:30 30
新口村 松下かほる 2:00 2:55  
夜の部 鶴亀 飯村絵理子 4:00 4:20 20
口上 松下かほる 4:40 5:00 30
勧進帳 園田栄治 5:30 6:45 20
雁のたより 飯村絵理子 7:05 8:10  
*タイムテーブルは予告なく変更になる場合があります。あらかじめご了承ください。
 観どころ・聴きどころ

梶原平三誉石切(高木秀樹)
橋之助改め八代目中村芝翫の襲名披露演目です。新芝翫が演じる主人公の梶原景時は見た目にかっこよく、おまけに情け深いという完璧な人物。男の役を演じる“立役”の役者なら誰もが演じてみたい役の一つでしょう。

別名『石切梶原』と呼ばれるこの作品。クライマックスで梶原が石の手水鉢を切るのですが、客席側に顔を向ける型や背を向ける型など、いくつかのパターンがあります。新芝翫はどのような形での石切となるのでしょう。

 

新口村(松下かほる)
亀屋の養子忠兵衛は廓で相思相愛の傾城梅川を恋敵の八右衛門と争い切羽詰まって懐に入れていた為替の金の封を切って梅川を請け出した。が同時にこのために忠兵衛は公金横領の罪人となったのだ。追われる身の忠兵衛は梅川と共に実の親の孫右衛門に一目会おうと大和「新口村」へと向かう。
片岡仁左衛門が忠兵衛と孫右衛門の二役を演じる。雪景色の新口村に着いた二人。凍える寒さの中で梅川をいたわる忠兵衛の姿は、梅川への愛しさにあふれている。また息子忠兵衛を思い梅川を気遣う孫右衛門には、父親の深い慈愛がにじみ出ていて心に響く。

 

口上(松下かほる)
片シャギリの鳴り物で幕が開く荘重でかつ華やかな襲名披露の「口上」。この度は、橋之助の八代目芝翫襲名の他に三人の子息も各々中村家に由縁の名跡襲名で一層舞台は華やぐ。名女方の印象の強かった先代芝翫の子息、立ち役として修業を積んできた橋之助の「芝翫」襲名だが、四代目芝翫は立ち役を得意とし大芝翫と呼ばれた。新芝翫も四代目芝翫が目標だという。

裃に威儀を正して大勢の俳優が並び役の上ではない素顔に近い姿での口上はお客様に大人気の一幕だ。尚、この度の「口上」で一寸違うのは斬新なデザインの祝幕と舞台背景で、次の世代を担う四人の襲名に相応しい。ご注目を。

 国立文楽劇場 初春文楽公演 1月3日(火)~1月26日(木)

  演目 解説者 開演 終演 幕間
第一部 寿式三番叟 渡辺まり タイムテーブルのご案内
奥州安達原
環の宮明御殿の段
鈴木多美
本朝廿四孝 渡辺まり
第二部 染模様妹背門松 高木秀樹

*タイムテーブルは予告なく変更になる場合があります。あらかじめご了承ください。

 観どころ・聴きどころ

奥州安達原 環の宮明御殿の段(鈴木多美)
お正月公演は、情緒たっぷりな演目が登場します。この段の見どころは盲目の女芸人袖萩が唄う「袖萩祭文」です。両親に隠れて恋人を作り家出した袖萩。10年後に親元に帰り、娘のお君を連れて雪の中で身の上を懺悔します。涙なくして見られない設定は作者近松半二の筆が冴えます。西暦11世紀中盤に東北地方の豪族安倍貞任宗任兄弟が源氏の源頼義と闘った「前九年の役」の後日談を描いたスケールの大きい物語です。少々複雑ですが、分かりやすく解説しますので、お楽しみ下さい。

染模様妹背門松(高木秀樹)

めでたい雰囲気の初春公演ですが、暗い悲劇的な物語を上演することが結構多いんです。お正月に劇場へいらっしゃる方は余裕のある幸せな方がほとんど。お芝居の悲劇も「あれは物語だから」と他人事のように眺められる・・・などと昔から言われておりますね。
という次第で悲劇の代表とも言える「お染久松」の物語をご覧いただきます。「染模様」と頭に「染」の文字。最後は「門松」と「松」の文字があり、これで「お染久松」を表します。

身分違いの恋をする二人で心中の悲劇を回避させようと久松の父・久作(人形~吉田玉男)が強意見(こわいけん)する「質店の段」は“革足袋~かわたび”の場面が見どころ。竹本千歳太夫の説得力ある語りに期待します。