イヤホンガイド
塚田 圭一(つかだ けいいち)
小山 觀翁(こやま かんおう)

イヤホンガイド創始より解説をご担当いただいていた小山觀翁先生が、平成27年3月30日にご逝去されました(享年86歳)。
先生は、昭和50年イヤホンガイド誕生当初より解説をご担当いただいて以来40年、日本の古典芸能への造詣深い先生ならではの、博識あふれる親しみやすい口調で、みなさまに語り掛けてまいりました。

ご冥福をお祈り申し上げるとともに心よりの哀悼の意をこめまして、謹んでお知らせ申し上げます。

小山觀翁さん トリビュート

メッセージ
歌舞伎座が新開場した平成25年は、年号を昭和で数えれば、88年となります。
イヤホンガイドが世に出たのは、昭和50年の11月ですから、38年になります。
この38年の歳月は、実に変化に富み、思い出ふかいもので、私はこれに当初から参画できたことを、生涯のしあわせであったと、感謝しております。
歌舞伎座も、五代目があのように立派に出来上がり、連日大入り満員なのを見るにつけ、我が事のような嬉しさをおぼえます。私はこの先、寿命のつづくかぎり、歌舞伎のために、役立つことをしたいと思っていますが、それにはお客様がサポートしてくださらなければ成り立ちません。
どうかイヤホンガイドを、末永く、よろしくお願い申しあげます。

八十三叟 小山 觀翁
略歴

昭和4年(1929年)東京生まれ
戦後の混乱のさなか、学習院大学在学中に学生歌舞伎を創始。 
学習院大学卒業
株式会社電通勤務(昭和27年〜50年)
昭和50年11月より歌舞伎同時解説イヤホンガイド・レギュラー創始解説者

平成元年 郵政審議会委員
平成4年 衛星劇場TV番組審議委員

テレビ放送番組・歌舞伎特集番組など、テレビ・ラジオ出演多数

江戸勘亭流書道 家元

国立劇場 講師
松竹 顧問
日本演劇興行協会理事
著書
『歌舞伎、「花」のある話』(光文社知恵の森文庫)
『痛快! 歌舞伎学』(集英社インターナショナル)
観客の芸談
古典芸能の基礎知識(三省堂選書95)
歌舞伎のわかる本(廣済堂ブックス)
歌舞伎の雑学(グラフ社シリーズ3)
落語鑑賞の基礎知識(三省堂選書112)
落語の雑学(グラフ社シリーズ9)
古典芸能うけうり指南(三省堂選書126)
歌舞伎案内(グラフ社ふくろうブックス)
江戸=現代に続く粋の原点(グラフ社ふくろうブックス)
三人寫楽謎錦絵(旺文社)
落語鑑賞学入門(弘文出版)
歌舞伎鑑賞学入門(弘文出版)
歌舞伎通になる本(グラフ社)

共著
落語文化史(朝日新聞社)
日本古典音楽体系(講談社)
原色歌舞伎詳細(グラフ社)
江戸時代と近代化(筑摩書房)
対談落語芸談(弘文出版)

「演劇界」「歌舞伎座筋書」「歴史読本」「邦楽の友」などなど連載多数
江戸勘亭流
郵政省・シリーズ切手「歌舞伎」題字
郵政省・ふるさと切手カレンダー題字
東京新聞・皇太子御婚約祝賀「寿」「幾久しく」題字
東京新聞・「辛言苦言」欄題字
文楽協会記録映像「人間国宝・吉田玉男の世界」「文楽人形のいのち」題字
東芝EMI「芳村五郎治長唄大全集」題字
書芸新潮社展覧会・特別出品
園田栄治さんのコメント
全盛期の三世中村梅玉に心酔して、激しい空襲のなかを、命がけで芝居見物したという経験の持ち主。それもそのはずで、物心ついたときすでにして見巧者であったというこの道の”神童”である。
戦後の混乱のさなか、学習院大にいた時、日本文化の荒廃を憂えて学生歌舞伎を興した。「良い客になるため」の経験の場として、実際に舞台を踏んでみるのがよい、という貴重な伝統を大学に残した。
電通でラジオ・テレビのディレクターとして鳴らし、そして伝統文化を守る高級料理店「小山亭」亭主をへて、現在にいたる。
古老と呼ぶにふさわしい、まさに文人墨客の風格があり、芸を見る眼の確かさは斯界随一といって過言でない。

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